World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜 Vol.9 東京八王子蒸溜所さま

World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜 Vol.9 東京八王子蒸溜所さま

こんにちは、GinnyClub広報担当です。

今月のWorldGin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜は、
東京八王子蒸溜所様です。

今回は弊社代表の池田が直接蒸溜所に伺い、創立者でありマスターディスティラーをされている中澤様に、「トーキョーハチオウジン」の魅力についてお話を聞いてきました!

 

東京八王子蒸溜所は、東京西部の街八王子にある蒸溜所です。
伝統的なものづくりの文化を受け継ぎ、芳醇なスピリッツを生み出しています。

 

今回お話を伺った中澤様
東京八王子蒸溜所代表兼マスターディスティラー

▲マスターディスティラーでありながらトロンボーン奏者でもある中澤様
 

トーキョーハチオウジンが誕生したきっかけ

 

 ー本日はどうぞよろしくお願い致します。
早速ですが、中澤様のこれまでのキャリアについてお聞かせください。

 

前職は飲食で、ウェイターとしてサービスをしていました。

当時から、人が出会う場所、ドラマが生まれる場所を提供したいと思っていました。中学生の頃から吹奏楽部でトロンボーンを演奏しているのですが、お店に立つのは、ステージに立つのと同じ感覚でしたね。

その後は、家業のプラスチック製造業に10年間従事して2019年にジン事業を立ち上げました。
現在は家業とジンの蒸溜を兼任しています。

 

ーステージと同じ感覚だったんですね、かっこいい!
ご自身もお酒はお好きなんですか?

 

元々お酒は好きで、自分でもよく飲みます。そして、お酒は人と人を繋ぐきっかけになるものだと考えています。

クラフトジンとの出会いは、以前4年間札幌に住んでいた時です。
その時に面白いなあ、作れたらいいなと思ったのがきっかけで、クラフトジン造りに乗り出しました。

 

ーなるほど、そこがすごく中澤様らしいなと感じた点でした。私もジンはすごく好きでよく飲みますが、自分で作ろうとはならなかったんですよね。なので、造ろうと思い立たれたのは本当にすごいです。やはり家業の“ものづくり“の影響が大きかったのでしょうか?

 

そうですね、
実家がプラスチック製造業ということで、ものづくりが当たり前の環境で、普通の人よりは“ものづくり“が身近にあったんだと思います。

プラスチックの製造とジン造りも実は似ているんですよ。
樹脂は、主原料を買ってきて、そこに添加物を加え、熱を加えて冷やして固めます。ジンはベーススピリッツを仕入れて、そこにボタニカルを加えて熱を加え蒸溜、気化させてから冷やして液体に戻す。
工程がかなり似ていますよね。

 

ーなるほど!面白いですね。
周囲の反応はどうでしたか?

 

父に話した時もすぐに話は通じました。やっていることがプラスチック製造業とジン造りで同じであるということも、すぐに分かってくれました。むしろ面白そうだからやってみたら、と後押しもしてくれています。


▲東京八王子蒸溜所 

 

蒸溜は“オートメーション“ 最先端のジン造り

 

ー今回、実際にお邪魔して蒸溜所の規模の大きさに感動しました。
都内だとレストランの一画でやられている蒸溜所も多いですが、
こちらはすごく広いですよね。

 

そうですね、工場として考えているのでこの規模になっています。
ものづくりが中心となっていますから、設備工事なども自社でやったんですよ。
設備の調子が悪い時は、自社で調整もできます。

 

ー全て自社で!すごいです。相当、広いですよね。
東京八王子蒸溜所は、何名で運営されているんですか?

 

ジンを造る作業は、私ともう1名アシスタントの2名体制です。
他には、事務作業やラベル貼りなどをしてくれるスタッフがいます。

 

ーおふたりでジンを造られているんですね。
おふたりだと、なかなか大変ではないですか?

 

うちの蒸溜器はドイツのコーテ社のものなんですが、全て自動で蒸溜ができるのでそんなに大変じゃないですよ。試作の時は確かに、0.1グラム単位で味が変わってしまうので慎重になりますが、基本的にはボタンを押せば蒸溜の作業は完了できます。


▲コーテ社の蒸留器

 

 

一番の苦労は意外なところに

 ―なるほど、ではジンを造る上で一番苦労されていることはなんですか?

ラベル貼りですね笑 とにかくたくさんの瓶に貼らなければいけないので、一番苦労しています。

―ジンの蒸溜よりもラベル貼りなんですね笑
確かに大変ですよね。1回の蒸溜でどれくらいの量を造られているんですか?

 

1回の蒸溜でできるのは、200リットルです。本数にすると400本くらい。
それを月に2回〜4回蒸溜しています。全部にラベルを貼るのが大変です。

 

―確かに壮絶ですね。

話は変わりますが、以前KOVALさんの研修を受けられていたとのことで、その時のご経験もジン造りや思想に反映されているんでしょうか?

 

ちょうど2019年の今頃に、Kothe Distilling Technologiesの教育プログラムに参加しました。同社の社長はKOVALの社長でもあり、KOVAL蒸溜所にて研修を受けました。社長はオーストラリア人で、奥様がシカゴ(アメリカ)出身。奥様の実家があるシカゴで蒸溜所を始められたメーカーさんです。
現地では、ジン造りのノウハウからマーケティングまで、学ぶことができました。

私自身、ジン造りを職人として行うというよりも、ビジネスとして捉えています。ジン造りを通じてどのように社会に貢献できるのかということを意識しているので、そういった話を直接社長からお聞きすることができとても勉強になりました。

 

 

キーワードは“安定と身近“ トーキョーハチオウジンの品質に対するこだわり
〜トーキョーハチオウジンを広めるための工夫とは〜

 

―トーキョーハチオウジンのこだわりを教えてください。

 

とにかく安定した味で提供することです。季節変動や情勢の影響を受けやすいフレッシュ素材は、使用していません。
年間を通じて同じ味を出すことにこだわっています。

安定供給の点では、使用しているジュニパーベリーもボスニア産とマケドニア産の2種類をブレンドして使用しており、どちらかが手に入らなくても滞りなくジンが造れるように対策しています。


▲使用している2種類のジュニパーベリー

 

―同じ味で蒸溜し続けるのは大変ですよね。
味は中澤様が決めていらっしゃるんですか?

 

基本的には私が味を決めていますが、弊社の販売担当が元バーテンダーなので相談することも多いです。
特に、美味しいジンを作るだけではなく、どんな味だと広まりやすいのかなど、本業でも担当しているマーケティングの観点も活かしながら味の調整をしています。
例えば、お酒好きの人が美味しいジンを追求すると、どうしても飲みにくいジンになってしまいますよね。逆に、飲みやすすぎてもジンらしさが失われていく。

飲み慣れたジンとして広めていくためには、どういう味がいいのかということを常に考えています。今展開している2つの商品は、このバランスを考えて生まれたものです。

 

―確かに。お酒好きな人が好きなジンはどうしても、一般的には飲みづらさがあるのわかります!
ちなみに、蒸溜方法は浸漬法で造っていらっしゃるんですか?

 

浸漬法ですね。ベースとなるコーンスピリッツはヨーロッパ産のものを使用しています。円安の影響を受けてしまい、大変でした。

 

―ヨーロッパ産のベーススピリッツを使う理由ってなんでしょうか?

 

なんといっても品質の良さです。
正直、他の物と比べると価格差はあります。

ただ、私自身そこまでお酒に強くないので、良質なお酒を飲みたいという想いが強いんです。二日酔いになりにくい酒質の良いものを追求した結果、ヨーロッパ産の品質管理が徹底されているものを使おうという判断になりました。

 

―二日酔いになりにくい、って大事なポイントだと思います。
ちなみに、トーキョーハチオウジンのおすすめの飲み方があれば教えてください!

 

おすすめは、シンプルにソーダ割です。一番評判がいいんです。
やっぱり、お家で飲むときに簡単で、お料理と合わせやすいのがいいですよね。
私たちは、皆さんにとってのジンのハードルを下げたいと思っています。
最初は飲みやすいものとして楽しんでいただいて、気に入った方はより凝った飲み方で楽しんでいただければいいのかなと。

最近、どんな食事やおつまみ、どんな飲み方がいいのか聞いてくださる方が多いんですよね。聞いてくださる方たちの立場に立って、彼らにとってジンが身近になるようにジン造りやジンの普及を工夫しています。

 

―ソーダ割なんですね!
確かに、炭酸水と氷だけならコンビニやスーパーで簡単に手に入りますよね。
トニックウォーターは、まだ手に入りづらい印象です。

 

トニックウォーターがコンビニに並ぶ日が来たら、その日がジン革命ですね笑

 

愛され続けるトーキョーハチオウジンの未来

―最後に、トーキョーハチオウジンの未来について教えてください。

 

私たちは、トーキョーハチオウジンを愛されるジンにしたいと思っています。
愛されるジンというのは、昔から変わらない、皆さんにとって飲み慣れたジンということです。
昔からある駄菓子のような存在にしたいです。そのために、今からずっと変わらないジンを造り続けていきたいと思います。


▲トーキョーハチオウジンはクラシックとエルダーフラワーの2種類

 

日本では、お酒だけをバーで飲む文化がまだ浸透していませんから、家飲みでどんな料理と合わせたらいいのかなど、提案できたらいいのかなと思っています。
ジンのハードルを下げるためには、そこにアプローチするのが大事だと考えています。

 

―まだジンの販売をされて1年未満だと思いますが、最近都内でよく見かけます。本当にすごいです。

 

めっちゃ頑張りました。
次の展開も考えているので、ぜひ楽しみにしていてください。

 

―次の展開!とても楽しみにしています。

 

本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

 

 

ブログに戻る