World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜Vol.14 TATEYAMA BREWINGさま

World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜Vol.14 TATEYAMA BREWINGさま

みなさんこんばんは🌝
GinnyClub広報のほのぽんです!

1年間にわたりGinnyClubで記事を執筆させていただきましたが、
今回で最後の記事となりました。


ほのぽん執筆の記事で最終回を飾るのは、千葉県館山市に2021年にオープンしたTATEYAMA GINを製造しているTATEYAMA BREWINGさまです。
TATEYAMA BREWINGさまは、蒸溜所・cafe&BAR・ゲストハウス・コワーキングスペースを兼ね備えた複合ビル「TAIL」に所在しています。

 元地域おこし協力隊で、建築士・蒸溜家という異色のキャリアをお持ちの大田さまにお話を伺ってきました。


▲お話を伺った大田さま

 

ジン造りは突然に
〜勢いと行動力が生んだジン〜

 

―藤枝:本日はどうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、大田さまのこれまでのキャリアと、ジン造りを始めたきっかけを
教えてください。

 
大田さま:よろしくお願いいたします。
元々、私は建築設計事務所に勤めて、新築物件の設計を行なっていました。
その後、独立して仕事をする中で“空き家問題”に興味を持ち、新築を設計し続けることに違和感を感じていました。
また、“空き家問題“を考えていく上で”ローカルの空き家問題“が最も難しく、重要だと思いました。

そんな中で、ご縁があって館山の地域おこし協力隊として活動することになり。
空き家問題を考えるだけではなく、自分自身でも空き家を使って何かしてみたいということで、元々ダンボール工場だった建物を購入し、TAILを立ち上げました。



TAIL外観


空き家で何をするのか、ということを考えた時に、面白がれると思った“お酒造り”にたどり着いたんですよね。


―藤枝:建築士から地域おこし協力隊を経てお酒造りをされているのが、とても面白いです。
ジンを造るに至った経緯を教えてください。


大田さま:知人の紹介で羽田麦酒というクラフトビール造りを行っている方にお会いしてお話ししていたところ、蒸溜酒を一緒に作ろうということになりまして。

出会って2時間で会社名まで決めていました笑
地域の産品が使いやすいなど、比較的自由度の高い蒸溜酒のジンを造ることになったんです。

 

―藤枝:たった2時間で!すごいですね。
―池田:めちゃめちゃ行動力がありますね笑
ちなみに、大田さまは元々お酒造りのことも学ばれていたんですか?


大田さま:基本は羽田麦酒のビジネスパートナーに教えてもらい、あとは全部自分で学びながら造っています。

お酒造りは門外漢ですが、TATEYAMA GINは日々商品価値は高めるとして、他の蒸溜所ではできない体験価値を提供しています。


―池田:全部ご自分で勉強されているんですね、凄すぎます。
蒸溜などの作業もお一人でされているんですか?


大田さま:全部一人で造っています。
うちには3リットルの蒸溜器があるんですけど、それを使って少量で色々と試しています。
この小さい蒸溜器がうちの製造所の強みでもあります。


―池田:少量で色々と造ることができる、まさに“クラフト”ジンですね。
―藤枝:地域のボタニカルを使うことが多いのでしょうか?


大田さま:そうですね。

例えば現在、八街と言う地域のワイナリーからワインの搾りかすをもらってボタニカルにしたり、知り合いの昆虫食好きからゴリ押しされて、毛虫のフンを使ったこともあります。

少量で色々な人のクリエイティビティを活かしたお酒造りができるのが、うちの強みでもあり、私がやりたいことですね。

―藤枝:そんなマニアックなものまで!
本当に幅広く色々なジンを造っていらっしゃるんですね。


大田さま:私は「お酒の民主化」と言っているんですけど。
みんなの“こういうお酒が造ってみたい”を受け入れて、みんながお酒造りをできるようにしたいと思っています。
昔は一部の人しかできなかったことを、みんなで体験できるようにしたいです。

 

―池田:「お酒の民主化」ってめちゃめちゃいいですね。
―藤枝:いろんな規制や設備の制限などもあって、興味はあっても自宅でできないのがお酒造りなので、すごく面白いと思います!

 

館山の自由な地域性を反映したエレメントシリーズ

 
―藤枝:ちなみに、先ほどおっしゃっていた体験価値というのは具体的にどういうことなんでしょうか?


大田さま:TATEYAMA GINでは、24種類のボタニカルをそれぞれ蒸溜して、後からお客様ご自身にブレンドしてもらい、その人だけのオリジナルジンが造れるエレメントシリーズを造っています。

その延長で、小ロットでの委託生産(OEM)も行っています。飲食店のハウスジンやオリジナルブランドの展開もできます。


―池田:ぜひGinny Clubのオリジナルジンも造っていただきたいです。


大田さま:あとは、蒸溜体験やブレンド体験といったワークショップを開いているんです。
ありがたいことに結構人気がありまして、4月までの予約は埋まっているんですよ。


―藤枝:蒸溜体験!めちゃめちゃ楽しそうですね。具体的にはどのようなことをされているんですか?


大田さま:蒸溜体験は合計4時間程度で、2時間ほどで蒸溜、調整・ボトリングを行います。そのあと、エレメントシリーズをブレンドしてオリジナルジンを造る体験ができます。

ちなみに、TATEYAMA GINを造っているTAILには併設のバーがあるので、そのまま造ったお酒を飲んでいただいたり、ゲストハウスもありますから夜まで飲み明かして泊まっていただくこともできます。


―池田:最高じゃないですか!


大田さま:さらに言うと、コワーキングスペースもあるのでワーケーションもできますよ笑

 
―池田:是非、行かせていただきたいです!笑
―藤枝:オリジナルのジンを造って飲んで、そのまま泊まれるなんて素敵すぎますね。


▲ワークショップの様子(参加者は自分の好みに合わせてブレンド体験ができる) 



▲ワークショップで参加者が造ったオリジナルジン

 

TATEYAMA GINの未来とお酒の民主化

 

―藤枝:一からジン造りの勉強をされて、TAILでジンの蒸溜をされている大田さまが今後ジン造りを通じて目指していることを教えてください。


大田さま:やはり目指しているのは、先ほどお話しした「お酒の民主化」です。
色々な地域や農家さんから材料をいただいて、試作を繰り返し、オリジナルのものを造っていきたいと思っています。


―藤枝:色々な方との関係を持ちながら、彼らの造りたいジンを造る。すごく素敵です!

 
大田さま:ジン以外にも、実は今度地元の方々とフルーツソースを作る予定もあります笑


―池田:もはやジンですらない笑
何かを造るのがお好きなんですね。

大田さま:ゼロイチ症候群って呼んでいます笑

 
―藤枝:TATEYAMA GINとして、今後の商品展開などはいかがですか?


大田さま:TATEYAMA GINとして今後造ってみたいのは、フルーツ系のボタニカルをメインにしたものです。すでに、イチゴを使ったものなどありますが、パッションフルーツや桃を使ったものを考えています。

あとは、現在販売しているエレメントシリーズだけで造ったブレンドシリーズも増やしたいと考えています。
また、そのブレンド比率を公開して、将来的にはお客様ご自身が自宅でブレンドしやすくなったら面白いですよね。

 
―藤枝:自宅でジンのブレンドができるなんて、面白いですね。
レシピも公開されるということであれば、再現してみるというのも楽しみ方の一つになりそうです。
本日は色々なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

 

―編集後記―

今回お話を伺った大田さまは、建築士でありながらジンの蒸溜を一人で行う蒸溜家。館山に移住してビルを購入し、TAILを立ち上げジン造りを開始、地元住民の方とフルーツソースまで作ってしまう、そんな行動力に溢れた方でした。
従来のお酒造りは職人が行うもの、から一般の方々がオリジナルのものを造れるように、新たな形を提案されています。お酒の民主化は、“ジンを身近なものにしたい“GinnyClubとしてもとても共感できる部分の多いテーマでした。

 

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