【World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜第2回酒蔵インタビュー武蔵野蒸留所さま

【World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜第2回酒蔵インタビュー武蔵野蒸留所さま

こんにちは、Ginny Club広報の藤枝です。
先月から始まりました「World Gin MAKERS〜世界の造り手さんに想いを聞く〜」の記事です。今回インタビューさせていただいたのは、『武蔵野蒸留所』様。埼玉県川越にある、Japanese Craft Gin-棘玉-を造っている蒸留所です。

弊社池田がバーで偶然出会った、思い出深いジンです。

今回お話を伺ったのは、武蔵野蒸留所でブレンダーとしてご活躍されている松崎さまです。

ブレンダーの松崎様

ブレンダーとは、蒸留酒にさまざまなボタニカルを調合して、ジンを作る職人のことで、美味しいジンを造る上で非常に大事な役割を担っています。
複数の酒蔵で住み込みをしながら“お酒造り“を学んだという松崎様は、そこで得た知見を活かし、現在ご自身の作りたかったジン造りに挑戦されています。


◉「3本のジュニパーベリーの木」からはじまった武蔵野蒸留所

―武蔵野蒸留所様がジンを造り始めた経緯を教えてください。

武蔵野蒸留所のルーツは、川越で135周年を迎える、お酒を取り扱う商店です。
ある日、お店の裏にある雑木林がすっかり荒れていたのをみて、「この土地を大事にしたい、綺麗にしたい。」そう思い、従業員と清掃活動をしました。
すると、そこには活用できそうな土地が広がっていたんです。


―その活用の道として、ジン造りが出てきた理由は何だったんでしょうか?

「この土地を生かして、地酒を造りたい」そう思ったときに浮かんできたのが、元々好きだったジンです。
もし、この土地でジュニパーベリーが育ったら、ボタニカルが育ったら。そう思い、3本のジュニパーベリーの木を植えたのが10年前のことです。
日本のジンブームが到来するかなり前の話ですね。


―日本でジュニパーベリーを育てるのは難しいと聞きますが。

そうですね。しかも夏はかなり暑くなる川越で、ジュニパーベリーが無事育っているのは、雑木林の中で風通しが良い恵まれた立地があるからだと考えています。

こうした経緯で、2019年には酒造免許を取得し、本格的にジン造りを始めました。

 
武蔵野蒸留所さまのボタニカル林

💡豆知識💡
ジュニパーベリーが生息する場所
ジュニパーベリー(セイヨウネズ)は、北極から北緯30度まで分布する寒い地域の植物です。実をつけるまでにかかる期間は10年ほどと、成長が遅いことも特徴です。



◉“お酒のプロ“だからこそ造れた王道のジン

―武蔵野蒸留所が手がけるジン“棘玉“の魅力を教えてください。

“棘玉“の魅力は、ジンそのものの味を楽しめる「王道のジン」であること。最初から、王道・正統派のジンを目指して造りました。カクテルとして飲まれるよりも、ロックで香りを楽しんでもらえるジンです。
そして、生産地の素材を生かしていること。また、造り手である私たち自身が長年酒屋を営んでいたので、お酒に関する確かな味覚と感性を持っていることも、“棘玉“を造る上で重要な要素だと思います。

ジン造りを始めた当時、海外の一般的なレシピを模倣したり、さつまいもやどんぐりのような変わり種を調合したりと、迷走していた時期もありました。
そこそこ美味しいジンは造れますが、本当にうまいジンに出会うまでは試行錯誤の繰り返し。狙っても、越えられない壁があります。半年以上、トライアンドエラーを繰り返しました。

それでも、長年酒屋を営み、本当に美味しいお酒を知っていたからこそ、最高の味を目指して根気強く試行錯誤を繰り返すことができました。そして、偶然に生まれたのが棘玉です。バチッとくる瞬間がありました。ジン造りでは、舌が本当に大事なんです。


―まさに、“お酒のプロ“である松崎様の職人の感性が活きたということですね。

当蒸留所では、私をはじめ、父と工場長が話し合いを重ね、最終的な調合を決めています。
ジン造りの工程は多いので、一つ一つの段階で試行錯誤できます。ベースとなる蒸留酒の温度や、ジュニパーベリーをつけておく期間など、変化しうる要素非常に多いです。
化学的な見立てと感覚、どちらも求められているのがジン造りだと言えます。

💡豆知識💡
武蔵野蒸留所さまでは、ベースとなる蒸留酒(原酒)や蒸留器へのこだわりも人一倍。
原酒の種類や蒸留機の型一つで味が大きく変わるのも、ジン造りの難しくも興味深いところですね。

                                     
こだわりの蒸留器

 

◉ビギナージニーにこそ飲んでほしい、爽やかな香りと飲みやすさ

―Ginny Clubではまだジンをあまり飲んだことのないビギナージニーの方に向けて、ジンの魅力を発信しています。そんな方々にはどんなふうに楽しんでほしいですか?

棘玉は、ビギナーの皆さまにこそ飲んでほしいです。
王道のジンの要素は活かしつつ、ジュニパーベリーの香りやジン特有のアルコール臭が苦手な方にも飲みやすいよう、柚子や山椒、生姜を使い、フルーティかつウッディな飲みやすいジンになっています。
例えるなら、新緑の青々とした葉の香りです。さらに、トニックやソーダで割ると飲みやすさは増します。

日本酒や焼酎など他のお酒も取り扱っていた酒屋が造るからこそ、ビギナーの皆さまにも飲みやすいジンになっています。
―なるほど。飲みやすいけれど王道のジンを知ることができる。まさに、ビギナージニーにうってつけのジンですね。明日、ジンビギナーの友人とジンを飲むので、早速進めておきます(笑)



◉ジンを起点に、地域の魅力を届けたい。

―ジン造りを通して、今後はどのようなことを実現したいですか?

武蔵野蒸留所があるのは、川越の南側に位置し、一級河川や林のような自然に囲まれ、富士山が眺望できる町です。
私たち目指すのは、ジンを起点として町に興味を持ってもらうこと。蒸留所を訪れる際に土地を訪れ、知ってもらうことです。

ジン造りの点では、オール自社製のジンを造ることを目標にしています。
10年前、3本のジュニパーベリーから始まったボタニカル林は、現在200本のジュニパーベリーが実をつけるのを待っています。
朝摘み生ジュニパーを使ったジンなども造ってみたいです。


―オール自社製のジン、楽しみですね。今後ぜひ、蒸溜所にも遊びに行かせてください!



編集後記
今回、インタビューさせていただいた武蔵野蒸留所の松崎さまは、長年の夢であったジン造りを心から楽しんでおられるようでした。今回インタビューさせていただいた弊社の池田とも、ジン造りのかなり深い話で盛り上がり(笑)近々、ジンの配合など経験させていただけることに。
また川越のまちに対する思いは人一倍で、ジンやお酒造りを基点とした地域活性化の明るい兆しとなりそうです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本記事に関するご質問等ございましたら、お気軽に弊社Instagram(@ginny.club)まで。

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